




「むし歯のお話」について、詳しく解説!
むし歯とは?

むし歯とは、口の中の細菌が糖分をもとに酸をつくり、その酸によって歯が少しずつ溶かされていく病気です。
実はむし歯は世界で最も多い病気のひとつといわれており、とても身近な存在です。
日本では予防意識の高まりなどによりむし歯は全体として減少してきていますが、地域や生活習慣によって差があり、まだ注意が必要です。
- 学童期の約30%が乳歯あるいは永久歯にむし歯経験あり
- 成人の90%以上がむし歯経験者
というデータも。
令和6年歯科疾患実態調査(厚生労働省)より
特に、乳歯のむし歯は進行しやすいことが分かっており、痛みで咀嚼ができなくなるほか、そのあとに生えてくる永久歯の形成や歯並びにも影響するので、さらに注意が必要です。
むし歯をそのままにしておくと細菌が増えていき、炎症が歯の根や周囲の組織まで広がることがあります。強い痛みや腫れ、発熱を伴うこともあり、食事や日常生活に支障をきたします。さらに重症化すると、まれではありますが細菌が血液中に入り、全身の健康にも影響を及ぼすことがあります。
このように、むし歯はただの歯の問題ではなく、ほかの病気の入り口になることもある大切なサインといえます。
むし歯になるまで
むし歯は、いくつかの段階を経て少しずつ進んでいきます。

① 菌が酸を作る
お口の中にもともと存在しているミュータンス菌などのむし歯菌が、食べかすに含まれる糖類をエサにして「酸」を作り出します。
エサになる糖類は、砂糖や、果物などに含まれる果糖、だ液によって分解された炭水化物など様々です。
② 酸で歯が溶ける(脱灰)

むし歯菌が作り出した酸が歯に触れると、歯の表面(エナメル質)からカルシウムやリンが溶けだします。これを脱灰といいます。この段階なら、だ液のはたらきでもとに戻ることもあります(再石灰化)。
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③ 穴が開く

だらだら食べをしたり、歯みがきをしない状態が続くと、酸にさらされる時間が長くなり、歯の修復が追いつかなくなります。そうすると、歯の表面が弱くなり、小さな穴ができ始めます。その穴が大きくなると、歯の内部まで細菌が入り込んでしまい、痛みやしみる症状がでてきます。
この段階になると、だ液による再石灰化では元に戻らないので歯医者さんに行きましょう。
むし歯につながる4つの条件
むし歯は、ひとつの原因だけで起こるのではなく、いくつかの条件が重なったときに発生します。

① 細菌
お口の中にはもともと多くの細菌が存在しており、その中でもむし歯菌は糖類を使って酸をつくる性質があります。この細菌がいることが、むし歯のスタートになります。人によって、口腔内の細菌叢にも差があるので、むし歯の原因菌の量や種類にも違いがあります。
② 糖類
むし歯菌は食事に含まれる糖類をエサにして活動し、歯を溶かす酸をつくります。食べ物によってむし歯菌のエサになりやすさが変わり、糖の種類では以下の順に酸酸性
リスクが高いといわれています。
ショ糖(スクロース)>ブドウ糖(グルコース)>果糖(フルクトース)>麦芽糖(マルトース)>乳糖(ラクトース)
さらに、お菓子や料理、ジュースに含まれる砂糖、シロップ、濃縮果汁などの“遊離糖”は最もエサになりやすい一方、生の果物や炭水化物はエサになりづらいとされています。
③ 時間
むし歯のリスクは糖類の摂取頻度に大きく影響を受けます。つまり、飲み物を含む不規則な間食習慣やだらだら食べなどはむし歯リスクを高めます。また、糖類を摂取したあとに長い間歯みがきせず、そのままにしておくのも注意が必要です。
④ 口の状態
人によって歯の強さやだ液の量・質が異なります。歯の質が強く、フッ化物によって歯が強化されている場合や、だ液が十分に分泌されている場合には、むし歯になりにくくなります。だ液がたくさん分泌されれば歯を守りやすくなります。
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このように、「細菌・食事・時間・口の状態」という4つの条件がそろうことで、むし歯は起こります。むし歯は生活習慣とお口の環境が合わさって起こるものなのです。
むし歯を防ぐには?
むし歯を防ぐには、先ほどの4つの条件をコントロールすることが重要です。
以下の3つのポイントに気を付けましょう。
① 歯みがき・お口のケア

まず基本となるのが歯みがきやデンタルフロスです。歯みがきやデンタルフロスで、
・糖分(むし歯菌のエサ)
・プラーク(むし歯菌のかたまり)
を除去することで【細菌】【糖類】の条件を制御できます。
また、フッ素入りの歯みがき粉や洗口液を使用することで、再石灰化(溶けだした歯の成分を歯に戻す)を期待することができます【口の状態】
食後には歯みがきすることも、【時間】の観点から有効です。すぐに歯みがきできない場合はうがいだけでも行いましょう。
② 食生活の見直し

決まった時間に規則正しく食事をし、だらだら食べや間食をなくすことで糖類とむし歯菌が接触する【時間】を短くできます。
むし歯になりにくいおやつを選び、【糖類】を減らしましょう。
よく噛む、水をよく飲むことでだ液の分泌を促し【口の状態】が改善します。
③生活習慣の見直し

鼻詰まりを解消する(口呼吸をしない)などのケアで、お口の乾燥を防ぎ【口の状態】の改善につながります。
規則正しく、ストレスのない生活を送ることはだ液の分泌や口腔内の細菌の種類に影響し、【口の状態】が改善します。
むし歯になりにくいおやつ
むし歯になりにくいおやつを選ぶポイントは以下の通りです。
① ノンシュガー(=シュガーレス)
ノンシュガー(=シュガーレス)のお菓子は、むし歯菌のエサにほとんどならないので、むし歯予防にはぴったりです。
しかし、食べすぎるとおなかを壊すリスクもあることがあるので注意しましょう。
② むし歯菌がエサにしにくい形の糖
お菓子や料理、ジュースに加えられた砂糖、シロップ、濃縮果汁などの“遊離糖”は、むし歯菌がエサにしやすい形です。一方、潰していない生の果物に含まれる果糖は細胞の中に糖が閉じ込められているので、むし歯菌がエサにしづらくなっています。
③ よく噛んでたべるもの、歯に残りづらいもの
よく噛むことでだ液がたくさん出て、お口の中をきれいにしたり歯を守る働きが高まります。また、チーズ、芋、おせんべい等は食べた後歯に残りづらいため、むし歯の原因になりづらいとされています。
監修
小林冴子歯科医師・歯学博士, 鶴見大学歯学部小児歯科学講座勤務。
日本小児歯科学会専門医, 服部幸雄主宰NPO法人協会認定食育インストラクター。
二児の母。趣味は観劇とアウトドア。
森永おくち研究所
