森永おくち研究所
● オーラルケア

【図解】舌のお話







「舌のお話」について、詳しく解説!

舌とは?


おくちのこと、といえば「歯」のイメージが強いですよね。ときどき噛んでしまって「痛い!」と感じる時以外は、あまり意識することがないかもしれません。
そんな存在感の薄い舌ですが、実は日常生活の中で歯と同じくらい重要な器官なんです!

お口の中に隠れた「生活を支えるパワフルな筋肉」

舌は、体の中でも特に珍しい、ほとんどが筋肉でできた柔らかい器官です。いくつもの筋肉が組み合わさってできているほか、骨に繋がっていない部分もあるので、舌をいろんな方向に伸ばしたり、形を変えたり、自由に動かすことができます。
そんな筋肉たっぷりの舌は、食べ物の味を感じる以外にもたくさんの役割を持っているんです。

「舌の力」があなたの健康を左右する?

では、舌はどのような役割を担っているのでしょうか。


舌の役割(1)「味わう」を助ける

美味しさを捉え、脳を活性化させるセンサー


舌の役割としてイメージしやすいのは、「味を感じる」ことですね。舌の表面をみると、小さな突起があります。この突起には、小さな玉ねぎのような形をした細胞のあつまりがあり、それを「味蕾(みらい)」と呼びます。味蕾は味を感じるセンサーであり、あまい・しょっぱい・すっぱい・にがい・うまい、といった味を感じ取り、その情報を脳に伝えます。また、味や食べ物による刺激は、だ液の分泌を促します舌は、食事のときに、美味しさを脳に伝え、噛んだりだ液を出したりするよう指示を出させる、大切な役割を果たしているのです。


舌の役割(2)「食べる」を助ける

食べ物を上下の歯の間へ運び続ける「餅つきの返し手」


食べ物を噛んでいるあいだ、舌は懸命に動いています。奥歯の上に食べ物が乗り続けていなければ、効率よく噛み砕けないからです。歯だけでなく、頬と舌が連携して、奥歯に食べ物を乗せ続けられているのです。

細かく砕いた食べ物をまとめる「食塊形成(しょっかいけいせい)」

噛み砕いた食べ物は、だ液と混ぜ合わさって「食塊」と呼ばれる食べ物のかたまりになります。この食塊をかたち作り、スムーズに飲み込めるようサポートするのも舌の役割です。


舌の役割(3)「話す」を助ける


複雑な動きで「言葉」を操る柔軟な筋力

「滑舌」という文字からもわかる通り、言葉を話すときにも舌は大活躍しています。頭で考えた文章は、のどから発せられた音が、口の形と舌の動きで調整され、さまざまな言葉の音になります。舌や唇の瞬発力と、正確な動き、そして話し続けるための持久力によって、会話が続けられるのです。例として、「た」の音は、口の天井に舌をくっつけて、空気をためて一気に開放する、という方法で発音しています。


滑舌の変化は、舌や口の動きが衰えているサイン

「なんだか最近、滑舌が悪くなってきたような気がする」と感じた場合、もしかすると舌をすばやく正確に動かす力が低下している可能性があります。舌が回らなかったり、話し続けると疲れてしまったりするときは、舌や唇など、口全体の動きが低下している可能性があります。


舌の働きが弱くなったら?

お口だけでなく、体全体の健康にもかかわる大事な「舌の力」

舌の動きが弱くなったり、うまく使えなくなったりすると、日常のさまざまな場面で小さな困りごとが見られることがあります。

① 食事がしづらい


食べものを口の中でうまくまとめられなかったり、かんだものを飲み込みにくくなったりします。そのため、食事に時間がかかるようになったり、むせやすくなったりすることがあります。また、味を感じる力にも影響が出ることがあります。

② 発音しづらい(滑舌が悪くなる)


お話の面では、言葉が不明瞭になったり、発音があいまいになることがあります。特に「さ行」「た行」「ら行」など、舌の動きが細かく関わる音は難しく感じやすくなります。

③ お口ポカンや歯並びに影響


舌は本来、先が上の前歯の後ろにあり、上あごに触れているのが基本的な位置です。舌が低い位置にある状態は、お口ポカンになりやすくなります。
お口ポカンの状態が続くと、口呼吸の癖がついてしまうだけでなく、お口が乾燥してだ液による自浄作用が働きにくくなり、、むし歯や感染症にかかりやすくなってしまいます。さらに、あごや歯列の発達にも影響を与え、歯並びやかみ合わせに影響することもあります。

④ いびき・睡眠不良


睡眠中に舌やのどの筋肉の緊張が低下すると、舌が後方へ落ち込んでしまい、気道をふさいでいびきの原因となったり、悪化すると睡眠時無呼吸症候群にもつながることがあります。


舌の正しい位置とは?

舌先が『スポット』に触れているか確認しよう


普段あまり意識しないかもしれませんが、舌には「本来あるべき位置」があります。
その位置は、「スポット」と呼ばれる上あごの少し前のふくらみです。
ちょうど前歯のうしろの少し上あたりに触れるくらいの位置に、舌先が軽く触れている状態が、“安静時の正しい舌の位置”とされています。
安静時の舌の位置は、
・歯並び
・かみ合わせ
・鼻呼吸のしやすさ
などと関係しています。
力いっぱいつける必要はなく、やさしく自然に触れている状態が大切です。


一方で、舌が本来の位置にいられず、下の方に落ちている状態を「低位舌」といいます。
低位舌の状態が続くと、次のような様子が見られることがあります。
• 口がぽかんと開きやすい
• フェイスラインがたるむ
• 口呼吸になりやすい
• 食べこぼしが増える
• 発音がはっきりしにくい
• 歯並びやかみ合わせに影響が出ることがある
舌は見えにくい部分ですが、お口全体のバランスを支える土台のような存在です。
必要に応じて、歯科医の先生に診てもらうことも重要です。


お口のトレーニングで「いつまでも美味しく食べられる」舌を育てよう

「食べる・話す」の基本は、舌の筋力維持から

加齢に伴って舌の力や動きが衰え、噛みにくさやむせ、滑舌の低下などが重なると、「オーラルフレイル」と呼ばれる、お口の機能が弱った状態になることもあります。

【オーラルフレイルの記事はこちら】

また、子どもの発育に応じた食べる、飲み込む、話す、呼吸する、といったお口の機能が十分に発達していない場合、「口腔機能発達不全症」と診断されることがあります。
健康なお口を育み、維持するためには、バランスの良い食事をとること、よく噛んで食べることに加え、舌や口まわりを適切に動かすことが有効です。毎日の自然な咀嚼やトレーニングによって舌が鍛えられれば、食事や会話、呼吸といった、生活に必要な能力を残すことができ、食事や会話を楽しみ、自立した生活を支えることにつながるのです。

今日からできる!舌や口まわりを動かす毎日のトレーニング


舌のトレーニング方法はいくつかありますが、ここでは「あいうべ体操」をご紹介します。
意識して口や舌を大きく動かしながら、「あ・い・う・べー」と声を出します。「べー」のところでは、出来る範囲で舌を突き出してみましょう。これを何回か繰り返します。毎日継続することがポイントです。
また、毎日の生活の中でもできることがあります。

① よく噛んで食べる

近年は柔らかいものに偏る「軟食化」が進んでいて、よく噛んで食べる習慣が失われつつあります。年齢や噛む力に合った食材を取り入れ、普段の食事やおやつで様々な食感を楽しみましょう。

② たくさん話す


長期休み明けに人と話すとき、すこししゃべりづらいと感じたことはありませんか?話すことで、舌や唇などはもちろん、表情筋やお顔まわりの筋肉が動かされます。ぜひ、家庭や学校、職場で声に出しておしゃべりして、お口まわりの筋肉をたくさん動かしましょう。

③ 舌が下がっていないかチェックする


毎日のふとした瞬間に、先ほどお話した「低位舌」になっていることに気づいたら、舌先が上の前歯の少し後ろに軽く触れられるか確認してみましょう。舌の位置や口呼吸が気になる場合は、歯科医院で相談してください。

舌は最強のパートナー

筋肉でできている「舌」は、毎日の食事や会話の中で意識して動かすことが、機能の維持につながります。いつまでも食事や会話を楽しめるよう、生活に舌や口まわりを動かす習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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